タイムリミット
タイムリミットの17:00まであと15分。息子に頼まれていた受験用の収入証紙を買いに行かなくてはならない。ずっと仕事で行けず、今日を逃すともう買いに行けないかもしれない。収入印紙と違って、収入証紙は限られたところでしか買えない。でも17:00に間に合うかどうかギリギリのライン。行って閉まってたらショックだし、諦めるか…いや、それはできない。
まずは電話
「収入証紙が欲しいのですけど、今日って買えますか?」
「はい。17:00までに来てくださったら買っていただけますよ」
「そうですか。あ、あの、ちょっとでも17:00過ぎたらアウトですよね?今から向かうとほんのちょっと過ぎてしまいそうで…」
「うーーん。そうかぁ。じゃあ5分だけ待ってあげるわ。それ以上はちょっと無理かなぁ。」
「わかりました!!!じゃあ、申し訳ありませんが5分だけ私を待っていただけますか?17:05に間に合わなかったら閉めていただいて結構です。そのときは潔く諦めます」
「はい。はい。じゃあ名前を教えて」
「林です!」
「私は井上と言います。頑張っておいでね」
「はい!!!今すぐ向かいます」
よっしゃ。イチカバチカ。井上さん目指してエイエイオー!だ。
なかなか進まない
車を飛ばす。ナビで到着予定時間を見ると「17:05」。間に合わしてみせようじゃないか!!!(でも、安全運転は忘れないゴールドカードの持ち主)
でも、そう簡単には行かない。道が混んできた。車が進まない。イライラ…。そうこうしているうちにナビの到着時間が7分になったり8分になったりしている。
道の合流のところでは結構強引に入ってしまったかもしれない。ごめんなさい。でも、これから強引に入ってきた車があったとしても「収入証紙を急いで買いに行く人かもしれない」そう考えるようにして気持ちよく譲ってあげようと思った。
それでもナビの到着時間は7分。アカン!もう絶対に間に合わへんやん!!!どうしよう…。井上さーーーん!!!
絶対に諦めたくない!
そうや!電話や。信号待ちのときに電話をかける。(もちろんイヤフォン使用で)
「あの、先ほど電話した林ですけど、今ね、めっちゃ急いで向かっているんですけど、ナビの到着時間が6分なんです…」
1分のサバを読んだ自分にズルさを感じながら、切羽詰まった声で訴えた。
「うんうん。大丈夫。あなたが来るまでちゃんと待っててあげるから気をつけておいで」
神ぃぃぃぃーーーー!!!!
本気の運転で、なんとか6分に到着。車を降りて全力疾走で施設内に。どこや?窓口はどこや?入口はカーテンがしてある。
「林さん?こっち。こっち。」
職員のかたがドアを開けてくださった
「ありがとうございます。ハァ。ハァ。」
息切れしながら、証紙ゲット!!!
「間に合って良かったね!受験頑張ってな〜」
井上さんはじめ、職員の皆さんが優しく微笑んでくださった。
感謝の気持ちを込めて、みかんのひとつでもお渡ししたいところだったが、残念ながらみかんは私のカバンの中には入っていなかった。関西人としての自覚がまだまだだと反省した。そんな私は、何度も何度もお礼を行ってその場所をあとにした。
幸せな夕暮れ
収入証紙を無事ゲットできた嬉しさと同時に人の優しさに触れた夕暮どき。空が茜色に染まってとても幸せな気持ちになりました(^-^)♡