りんごの思想

お別れは、新しい出発

私が、もう何年もお世話になっている美容師マナブさん。このたび、今の美容院をやめて独立する。10月19日(日)で20年間以上勤めた美容院を退職された。

私の伸び放題の髪。マナブさんが辞める日までにカットに行きたかった。だけども私は、なかなか行く時間を確保できなかった。

日曜日の晩、マナブさんから今日で退職だったと電話があった。私は退職の具体的な日を覚えていなかった。「まさか、今日までやったん?明日行こうって思ってたのにーー!」すると、マナブさんの口からこんな言葉が…

「てか、僕が今日までっていうことは置いといて。明日は月曜日。そもそもお店の定休日です(笑)」

がーーーーん!そうだ!どっちにしてもあかんやん!とアタフタしている私に、続けてマナブさんは言ってくれた。

「明日、切ってあげるからおいで。」

ホンマにええの!?そんなこと申し訳ないという気持ちはあるけど、遠く(九州)離れる前に会っておきたいって思った。私は、マナブさんの言葉に素直に甘えることにした。

貸切の美容院で花を咲かせた

店は定休日。貸し切り状態。マナブさんと私は同い年ということもあり、今までたくさんおしゃべりをしてきた。私は美容院で髪をしていただいてる間、雑誌を読んで過ごしたりはしない。マナブさんをはじめとする美容師の方々とお話したり、美容師さんたちのお仕事風景をみるのが大好きだから。

私たちは今までの思い出を、たくさんおしゃべりをした。マナブさんは私が話したことを、私より覚えてくれてて、例えば「こないだ買うって言ってた炊飯器、どうだった?」とか。えっ私そんなん言ってたっけ?っていうことまでいつも覚えてくれてて、さすが接客のプロ!って思ってた。

こんな事も。じつは私、オイオイ泣きながらマナブさんにカットをしてもらったこともある(笑)その時、マナブさんは事情も聞かず、テッシュの箱を私の膝にそっとおき、泣きたいだけ泣かせてくれた。そして、黙々とカットをしてくれた。

振り返ると色々あったなぁ。そして、これからのことも話した。

マナブさんの挑戦

「ねぇ、どうして、独立しようと思ったの?」やっぱりコレは聞かずにはいられなかった。店長を任され、数々のコンテストでも優勝され、後輩の美容師さん達にも凄く慕われている。周りからみたらノリノリの時期。なのに、何故?「うーん。説明するの難しいねん。今でも恵まれてるし、楽しいけど、もっと刺激が欲しくなったのかも。」「あと、もうひとつは、自分が思う方法で美容師の教育にも取り組んでいきたいし、とにかく自分がやりたい事に挑戦してみたいんだ!」と。

「すごいなぁ!」と言うと、「いやいや、これからやし。ゼロから始めるのってワクワクもするけど、正直ものすごく怖いよ。」って。ああぁ。わーかーるー。私も開業のとき同じような気持ちを味わった。病院勤務で、いわゆるサラリーマンだった時を振り返り、私はとても恵まれた環境を与えてもらって、お仕事させていただいてたんだなーって改めて思ったりもした。ワクワクするいっぽうで、不安や恐怖もゼロではなく、開業してすぐに顔面神経麻痺を患ったくらいだもん(笑)

人生はテーマパーク

私は、人生ってテーマパークだと思っている。空から地球に降りてきて、人それぞれの楽しみ方で、それぞれのプランで遊んで、堪能したら空へ帰るイメージ。

テーマパークで美しい花壇を眺めたり、パレードをみたりするも良し。「さあ次は何に乗ろう♡」って次々にアトラクションを楽しむのも良い。時期っていうのもあるだろう。

私は今、このテーマパークを思いっきり楽しんでいる途中。たくさんあるアトラクションをドキドキワクワクと渡り歩いてる。感動したり、キャーって絶叫することもあったり、怖くて泣くことも。でも、それも含めて全部味わって楽しんでいるに違いない。せっかくだから、ココロときめくものがあれば、すべて堪能して「もうええわ。充分楽しんだ♡」って満足顔で空に帰りたい。

時間は命と同じだと思う

私は時間って命と同じだと思ってる。何をするのか。誰と過ごすか。それは命をどう使うかということと同じ。

まず、私は何をしたいのか。昔の自分と比べると随分それを意識して感じることができるようになってきた。「しなければならない事をこなす自分」から「したい事をする自分」の割合が増えたと思う。

私が一緒に過ごしたいとか、会いたいって思うのは、「こんな事してみたよ」「うまくいったー!」「失敗したー!」「次はこんなんするねん!」って、どんな小さなことでも、たとえそれが失敗であったとしても、実際に自分で行動に移した事をキラキラした目で語る人。私はそういう人の話を前のめりになって聞き入ってしまう。

人、物、事柄、社会、環境がどうのこうのって、他を批判して自分を正当化する口ばっかりの評論家のお話は、つまらない。

口だけだったらなんとでも言える。やっぱりその人をあらわすのは行動だと思う。

寂しいけど新しい関係になれる

とはいうものの。私は…これから誰に髪を切ってもらったらいいのかわからない。いつだって椅子に座るだけのおまかせコースだったから。マナブさんの仕事はプロだった。安心して任せられる信頼関係にあった。こんな風にしてくれる美容師さんにまた巡り会えるのかなぁ?でも、きっとそれは大丈夫だ!マナブさんの後輩が引き継いでくれる。

今日のカットはこんな感じ♡

瞳のキラキラを応援してる!

マナブさんの人生は間違いなくこれからも楽しいに決まっている。これからもマナブさんらしく、ありのままでいてほしい。今まではマナブさんと美容師とお客さんの関係だったけど「これからは友達だねっ」て最後に握手を交わした。マナブさんの瞳のキラキラをずっと応援している。

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